レポート作成日:2023/07/20
課題深掘り会 #8~#9レポート
【レポート】とちぎデジタルハブ課題深掘り会#9「紙の回覧板がめんどくさい。回数も頻繁すぎる時がある!」を実施 2023/7/20
話題提供について:
自治会に加入すると地域のお知らせ等が回ってくる回覧板。
「求ム!あなたの日常生活でのお困りごと!匿名回答可能!」のページで地域の皆様からの声として、「回す回数が多すぎる」や「次の人に回していくという仕組み自体が大変」という声が届いています。
そこで、皆様から頂いたお困りごとについて、デジタル技術を使うことで解決していくために今回のテーマについて意見交換をする場としてこの会を設けました。
宇都宮市には自治体が787あり、その中で一部の自治会の状況をお話しします。
近年ではコロナ禍を契機に「(不特定多数の人が触れるため)回覧板を回したくない」という声が多く聞こえるようになりました。
そこで、株式会社CPUが提供している「結ネット」(https://www.cpu-net.co.jp/product/yui-net/)というアプリケーションが流行りました。
最初にそのアプリを導入したのが清原地区(全22自治会)の連合会です。
会議の議事録や出欠確認をアプリ上で実施し、データの共有はPDFでできるようにしていきました。
その後、連合会の取り組みを見て、22の自治会のうちいくつかの自治体も「自分の自治会で導入したい」ということで、連合会から小さなコミュニティへの導入も進んできました。
これから連合会や自治会だけでなく、その先の各世帯まで導入が広がっていくと「回覧板」という形で利用できる可能性があります。
アプリの利用だけでなく、御幸町北自治会はamebaブログを開設(https://ameblo.jp/miyukikita/)してその中で自治会の案内や回覧板等を見ることができるような仕組みを取り入れています。
宇都宮市の取組としては、行政情報は市のホームページに掲載もして誰でも見られる状態にしているというのが現状です。
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課題に対するトークタイム:
・787自治会の現状を知るためのアンケートを実施する予定は?
→実施する予定はないです。というのも、デジタルの活用意向という大きな言葉での調査はしていますが、電子回覧板等の特定の言葉で調査はしていません。
行った調査では過半数の自治会からデジタル導入については前向きとのことですが、導入する際に先頭に立って推し進めていく人材がいないとなかなか進まない現状があります。
一例として、清原地区は導入が始まって2年経ちますが、現在は会長さんと班長さんが使っている状態に留まっていて各世帯が使えるという状況までにはなっていません。
・結ネットの利用値段は?
→1000台のID発行で一件当たり月に100円未満になる。が、初期費用や月額(ID以外)でお金がかかります。
・活用方法は?
→そもそも結ネットは自治会のために作ったアプリとのことで、ユーザーインターフェースも自治会向けなので導入はしやすいと思います。
・今までは回覧板があることで隣の家の人の顔が見えていました。
それが防災減災に繋がっていた面もあると思うので、そこを代用できるような仕組みとセットでできるといいのではないかと思います。
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課題アイデアについての意見交換:
・地域の情報が届くアプリを使うのなら、ゴミの分別のプッシュ通知が届くようにしたら導入してくれる利用者が増えていくのではないか。
・積極的に動いている自治会があるならそこをピックアップして広げていくというのも一つの方法なのではないか。
・もしかしたら、あの自治会が使っているのなら自分たちは使いたくないというような意見も出てくるのかもしれない。
・それぞれの自治体によって規模も姿勢も違うから、その地域ごとに寄り添った形にして行っていくのが正しい形ではあると思う。
・デジタル化の際に個人情報を自治会で管理していくのは、セキュリティ面をだれが適切に管理していくのかという責任の所在も含めてなかなか難しいのではないか。
・住民の出入りが激しい地域だと、その地域の文化を新しく来た人が理解するのは難しい状況になってしまうと思うので、自治会の取組や関わり方が難しいという現状もあると思う。
・回覧板だけではなく、周辺地域のお店の割引情報や「売れ残りそうだから〇%オフ」のような情報が出回るようになったら嬉しいし、フードロス対策にもなるのではないか。
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【レポート】とちぎデジタルハブ課題深掘り会#8「もっと気軽に林業に関われる人材紹介サービスを作りたい」を実施 2023/6/15
課題投稿に至った背景:
林業には何となく興味があるけれど、実際にどのように関わったらいいのか分からないという人が多い。人材不足が顕著なので行政が制度を用意しているが、正社員登用という方向でしか利用ができないため、気軽な関わりというわけにはいかない。
いきなり正社員登用という形でなくても、まずは単発でもいいので林業に関わることができるような仕組みがあればいいのではないかと考えていた。
林業の実際の仕事は、資格や経験がなくてもできる仕事がたくさんある(高所の木を切った後の落ちた木を掃除・植林・草刈り 等)けれど、そもそも人材が不足している。まずは知って体験してもらって担い手が増えていったら嬉しい。
今の林業のボトルネックは、仕事がありすぎること。みんな仕事がずっとある状態で目の前の仕事で手一杯のため、現状をどうにかしないといけないというところまで気が回らない。他の業界の人からの意見や知見をいただくことができれば、新しい形で効率化や人材不足の解消が可能になるかもしれない。
林業に今まで携わったことのない人が山に入って実際に体験し、現状を知ってもらいながら意見交換をしていけたら業界としてもいいのではないかと考えている。
林業や山に対しての理解を深める話:
①山は一般人でも買えるのですか?
→不動産に声をかけて紹介してもらい、諸々交渉して買うことができます。
山を処分したいという人は多くなっていますが、仕組上、森林組合は買うことができないので山が余っているのが現状です。
②山の開発に許可は必要?
→認定をもらう必要があり、それぞれ申請をする場所があるので市役所に聞きに行くのがいいと思います。
個人か業者かは関係なく、伐採届等は必要です。申請を知らずに切ると盗伐になったりします。
きちんとした区域を知らない人も多いです。
③伐採するには何らかの資格が必要?
→自分の山の木を自分で切るときには特に資格は必要ないです。
特別教育という、チェーンソーを使うための教育システムがあります。請負でなければ
必ずしも必要というわけではないですが、受けておくに越したことはないです。
④山の所有者は高齢者の方が多いのですか?
→そうですね。高齢の方も多いですし、買った当事者の方が亡くなられていて、相続者があまり理解していないことも多いです。
⑤山で刈った草の処理はどうしていますか?
→刈った場所にそのままにしておくことが多いです。
⑥山に入って木を切るところだけが人手不足なのですか?
→木を育てる「植林」の人材も不足しています。木を切る人「伐採」の方がまだ人材は多いのではないかと思います。
伐採は機械の導入ができる場面もありますが、植林はどうしても人による作業が必要なので、なかなか難しいのが現状です。
⑦木を育てる方の収入の構造はどうなっているのですか?
→全て補助金で成り立っています。昔は木が高かったのですが、今は人手不足と木の値段が下がっていて費用が捻出できないので、
補助金なしでは成り立たない状態です。
課題アイデアについての意見交換:
・実際の現場に行きたいと言ったら行けますか?
→ぜひお越しください。まずは体験という形で参加してもいいですし、実際に現場に来て触れてみてほしいです。
・土日だけ参加もできたりしますか?
→土日に作業している現場もあります。まずはその人たちに声かければ参加できるのですが、取りまとめる人がいない現状です。
・全然違う業種の人でも参加できますか?
→できます。それでいうと私としては、
レシピ(絶対的なものではなく、自分の業種と比較対象にできる林業のマニュアルのようなもの)を作りたいと思っています。
山や森林の世界に関わっていない方からするとわからないことだらけだと思っているので、料理のレシピのように
「こういう材料(道具)使ってこういう作業したらこういう山ができます」
「丸太をこういう場所に持っていくと売れます」等々、
自分たちの知識をわかりやすく公開することによって、関わってみようと思う人が出てきたら嬉しいです。
林業は、職人の世界なので、人によって言うこともやることも違い、ちゃんとマニュアル化されていません。今までの形としては、親方の言っていることを踏襲するというものでしたが、このままでは、さらに林業の担い手が不足していって、教えられる人もいなくなっていってしまうため、他業種の人たちにも林業の作業等の見える化をしていきたいと考えております。
ただ、業界内の人は仕事が半永久的にある(土地と木はいくらでもある)ため目の前の仕事に追われており、新しいマニュアルや他業種に協力を呼びかけることに労力を割けなかったり意義を感じていなかったりすることが多いので、業界内で作ろうとすると難しいのが現状です。
参加者の感想:
・非常に貴重な話でした。どの業界でも人手不足は深刻な問題ですが、今回のお話を聞いて林業独特の難しさがあるのだと思いました。
入りにくいところにどのように参画してもらえるかという仕込みが大切ですよね。
・私自身、林業の現場で作業しているのですが、知らないことも多かったので勉強になりました。
・同じ状況が今後農業にも訪れるのだろうなと思いながら話を聞いていました。
継続して関わることは難しいと思いますが、まずは単発でも興味持ってくれる方に関わっていただいて、その中から担い手になってくれる人が現れたら嬉しいと思いました。
・世の中の生物多様性の流れは林業に追い風になると思います。実際に、企業はそのような活動にお金を出す動きが始まっています。
なので、CSRやカーボンニュートラルに繋げた説明をしていくことで、林業がこれからトレンドになっていく可能性も大いにあると思います。
・現場の方からのお話を聞くことができてよかったです。この深掘り会がフランクな雰囲気だったので多様な意見が出てきたと思います。
林業としてのイメージの変革によって、今まで林業に関わっていなかった人を巻き込んでいく必要性があると思いました。
・広報に向けての簡易的なホームページを作成すること等で力になれると思います。ドローン講習などは広い場所が必要だったりするので、山が使えるなら需要はあると思います。
このように、林業以外と結びつけるアイデアを広げていけたら発展しそうだなと思いました。
・実際に現場で働いている方からのお話で課題感がよく伝わりました。
幼稚園や保育園の子どもたちが木を植えているというニュースを見たところから発想を得たのですが、学生を巻き込んでタイムカプセルに見立てて木を植えて、将来成長した木を見に行くというのも面白いと思いました。
様々な可能性があると思い、ワクワクしながら聞いていました。
・人材不足の解決策として、「地元に戻りたい」や「自然の中で暮らしたい」というような言葉で対象を広げることと体験機会を増やしていくことでより興味をもつ人が増えるのではないかと思いました。
・レシピの話はとても大事だと思いました。
知り合いで過酷な状況で除草作業をするロボットを作ったりしている企業があるので話を聞いてみて共有しますね。面白い林業をやっている方が増えることが大切だと思いました。
話題投稿者のコメント:
日々山に入っていると、どうしても話す人が固定化してきていたので、このような機会で話すことで初心を取り戻すことが出来る感じがして、とても嬉しいです。
様々な課題感はあるけれど、やみくもにあれこれ手を出すのではなく、情報発信や体験等まずはできるところからやっていきたいと思いました。