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レポート作成日:2024/07/29

第14回課題深掘り会レポート【救急車を窓口にした孤立支援】

第14回課題深掘り会テーマ:「救急車を窓口にした孤立支援」

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話題提供

救急車の出動件数がとても増えている。孤立状態の人はどこに頼っていいかわからず救急車に頼ってしまうという現状がある。頼ったらすぐ来てくれること自体はいいことだが、5割は救急車が出動をする必要のない軽症であり、そのうち約半数は高齢者である。これは自治体の財政を圧迫する一要因にもなっている。(救急車は一回の出動で最低45,000円かかっているため)

もし救急車を呼んで軽症であった場合は費用を請求するという自治体もある。

周りに誰かがいる場合はその人に不安なことを話したりできるが、身寄りのない高齢者の方はちょっとお腹が痛いだけで不安になってしまい、救急車を呼んでしまう。

いつでも呼べば来てくれるシステムのため、軽症であっても、救急隊の方から注意されてでも誰かと話したくて呼んでしまうという状態が東京では起こっている。

 

高齢者が救急車を呼んではいけないということではなく、それだけ「繋がりがない」ということが根本的な課題であり、寂しさから起こっている行為だと思う。

週に1回でも2回でもソーシャルワーカーが派遣される仕組みにしたい。

救急車の出動を減らした分で、ソーシャルワーカーに少しでも手当が行くようなシステムにしたい。

救急安心センター事業「#7119」に電話すると、救急車が必要なのか必要ではないのかを判断してくれるが、なかなか認知が広まっていない。

最初から軽症か判断することは難しいかもしれないが、何回も呼んでいる人や「孤独が原因だ」と判断した人にソーシャルワーカーを繋げることができるという仕組みにしていければ、状況が改善されていくのではないか。

 

質疑応答と意見交換

・救急の現場はひっ迫していて、最新の情報(栃木県・令和4年中)では91,484件の出動をしている。高齢化の影響で亡くなる方はこれからも増えていくためひっ迫し続けていくと予測している。

・救急車を呼んで断られる場合はある?

→いたずら電話は別だが、大体全て出動している。(むやみに断ると訴訟に繋がる)

 要請があったら出動しなければいけないという法律がある。

・#7119についても周知が進んでいないのは県としても課題なので、これから認知を広めていくための広報をしていきたい。

・通報した人がどんな人なのかというデータベース化はしている?

→通報時に携帯電話だと位置情報が反映されるので位置情報は把握できる(位置情報をオンにしている場合に限る)

・孤独で夜に寂しくなる人は、日中に包括支援センターの人に繋げたとして、夜また寂しくなってしまうのではないか。

→大田原では「繋がり付き住宅」というものをやっている。自分以外の誰かと日常的な繋がりができた状態で暮らせるのが大切だと感じる。

・孤独のときの最終手段が全て「#119」になってしまうのが問題だと感じたので、「#7119」を高齢者の中で常識化していく必要があると思う。高齢者が集まるところで実施している講座(スマホ講座等)や自治会等で普及していくのが大切だと思う。

・#7119にかけたらどうなるかを体験できる場が欲しい。

・救急車の出動を要請してきた人がどういう人かという情報を第3者(支援セクター)に流すことは可能?

→事例はあったはずだが、難しいのではないか。

・免許返納が孤独につながることも多いと思うので、免許センターで周知するのもいいのでは。

・他業種の営業の人が副業的に講習を受けて派遣できるような仕組みにすると良いと思った。

・状況によってかける電話番号が多すぎて複雑化しているため、一番メジャーである「#119」にかけてしまうのではないか。

・救急隊が「#7119」の広報資料を渡すことも周知の広げ方としてはいいのではないか。

・あるグループホームでは救急車の前にALSOKが派遣される仕組みにしている。

・福祉関係はどうしても制度の中で動いており、制度が利用できる状態を脱してしまうと関わることができないため、自分で動いてもらうしかなくなるという状況もある。

・「軽症で」というのが問題を複雑にしていると思う。専門職じゃなくて地域の人の方が「あのうちの人のところにいつも救急車来ているな」などの状況を把握できていると思うので、「地域で支える」という視点も必要で、それが然るべき支援セクターに共有されるといいのではないか。

 

アイデア

・「ぴこっと」という個別教育支援システムがあるので、そのシステムと同じような仕組み作りができないものか(諸々の情報を一元管理して然るべき場所に繋ぐことで、支援計画を立てることができるというシステム)

・呼ばれた救急隊員や病院のスタッフが「この人は孤独だ」と判断したら地域包括支援センターや孤立支援の人たちに繋げるのがいいのでは。

→「孤独」に関して専門性がある人がチェックリストを作って判断できるような仕組みにできると良いと思う。

・ケアマネジャーさんも現状大変なので、情報管理や記録についてもっとシステム化できるような仕組みにしていく必要があると思う。人が対応しなければいけないところが多すぎるので、もっとコストを減らしていかないと事務作業で忙しくなり包括的な支援まで手が回らない状況になってしまう。

・ロボットが孤独の解消に貢献できるのではないか。ここで言うロボットは、ただのロボットではなく、ロボットの奥には人がいて会話することができるというイメージ。ただこれで解決できるというものではなく結局は人同士の関わりを断つことはできないと思うが・・・。

・意図的に井戸端会議的なものを作れると孤独の解消に繋げていけるのではないか。

 

課題

・孤立している人にどうアプローチするか

・孤立している人の情報をどう支援サービスに展開していくか

 

感想

・とても良い時間だった。問いを立てて話し合う時間は大切だと感じた。

・情報を繋いでいくことの大切さを実感した。個人情報保護の運営審議会があるらしいので、その審議会で認められれば情報連携が可能になると思う。情報は集約し使える範囲は考えていかないといけないと思う。

・救急車が孤独を見つける役割も担えるなら可能性が広がるのではないか。

・「孤独」と「孤独感」は別物だと思うので、それぞれを理解しつつ対応策を考えていく必要があると感じた。

・父が一人で暮らしているので、あとで電話してみようと思った。

・活発な意見が出る場ですごいと感じた。個人的に、「システムは誰かが運用する決断をしないと進まない」という言葉が刺さったが、社会福祉業界はデジタルでは解決できないことが多いのも事実。事例があって解決が進めば多くの人が救われるのではないか。

・個別課題と地域課題の解決に寄与するものであれば情報が連携できると思うので、議論を深めていきたい。

・ソーシャルロボットの活用は良いと思う。

・孤独を感じている人や高齢者がどのように支援者に繋がるかという話について、現時点で何の支援制度も利用していない人がどのように繋がることができるのか検討がつかない。現状繋がる方法がないと思う。

・家族にも「孤独だ」と言えない人もいるので、どう支えていくかは議論していく必要がある。

・情報は集まるところには集まっているので活用していきたい。

・救急車の出動件数を減らしていくのは喫緊の課題だと感じた。

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