レポート作成日:2024/09/25
第15回課題深掘り会レポート【地域の非営利組織のリソース不足】
第15回課題深掘り会テーマ:「地域の非営利組織のリソース不足」
話題提供者による課題説明
認定NPOなどの非営利団体は、業務の過多や高齢化により疲弊し、場合によっては解散して個人活動に戻ることがあります。
また、NPOは行政が積極的に関与しにくい分野を担っているため、その役割が重要ですが、高齢化社会が進むにつれて疲弊が深刻化している現状があります。
NPO団体内では、事務作業や会計報告などに多大な労力を割いており、これを効率化するために、業務の一部をアウトソーシングや他のボランティアに任せることを検討したいと考えています。こうしたNPOの人材確保を支援する仕組みとして、ふるさと納税のように具体的なメリットが受け取れる仕組みを導入することで、ボランティアに関心がある「潜在的ないい人」が実際に活動したくなる環境を整えたいと考えています。
最終的には、デジタル技術を活用して「潜在的ないい人」が地域社会で活動しやすくなる仕組みを作るため、参加者の知恵とアイデアを借りたいです。
質疑応答
司会:「非営利団体の現状のリソース不足」について、皆さんの感じ方を伺いたいと思います。
質問:「リソース」とは具体的に「お金」か「人」か、どちらを指していますか?
回答:主に「人」を指しています。
質問:新たな人材を見つけ出し、現場に参加してもらうイメージでしょうか?
回答:「タイミー」などの隙間バイトに似た形で考えています。
質問:現状の負荷を見える化することと、新たな人材を探すことの両方が課題でしょうか?
回答:その通りです。
司会:予算が少なく人材確保が難しい団体が、協力者をどのように確保するか、議論したいと思います。
意見:現状、ボランティアが集まりにくい状況であることに同意します。助けたいという強い気持ちがないと難しく、ボランティアのスキルや適性も様々です。非営利団体は特に経理や会計業務が苦手なところが多く、外注したくても資金が足りず、助成金の申請や報告にも苦労しています。
司会:業務を細分化した場合、経理や会計といった分野はボランティアでは賄えないことが多いと感じます。
質問:少子化や教員の働き方改革などの背景から、学校現場でも、部活の運営を地域のスポーツクラブや民間企業に委ねる地域移行が進められているところですが、特に支援が必要な部分はありますか?
回答:特に中高の部活動に課題を感じています。地域への移管が進む場合もありますが、全てを移管するのは難しいです。企業や団体が部活支援に関わると法人税減額になる仕組み等を設けられないかと考えています。
意見:学校に専門家が入り、先生の業務の一部を支援しており、これにより先生方が本来の業務に集中できるようになっています。
質問:NPOが減少しているとのことですが、役割を担う他のNPOがその業務を引き継ぐことはあるのでしょうか?
回答:代替サービスは無いと考えた方が良いかと思います。
質問:「いい人」とはどういった人でしょうか?
回答:「いい人」の定義は難しいですが、自己の時間を他者のために割ける人としています。自発的に行動できる人です。
意見:人は社会的な存在であり、他者のために生きることが重要です。人間の社会的な役割について広めていきたいと考えています。
司会:「いい人」という定義を、リターンを求めずギブをする人と捉えました。
アイデア提案
1.仕事の見える化
現在の作業について、デジタル技術を活用して見える化することで、潜在的な協力者を探しやすくなるのではとの意見がありました。
2・「潜在的ないい人」を広く対象にする提案
ボランティアとして活動する対象者をサラリーマンだけでなく、主婦層や普段働いていない方々も含むようにする案が出されました。様々な立場の人々が参加しやすい仕組みを目指すべきとの意見がありました。また、学生も対象とし、「いい人検定」などの認定制度を設けるアイデアも提案されました。
3.ボランティアとインセンティブの課題
ボランティア活動と継続的なインセンティブ付与の相性についての懸念が示されました。インセンティブを受け取れる人と受け取れない人が生まれることで不公平感が生じる可能性があるため、慎重な対応が必要との意見です。また、報酬として金銭の代わりに地域内で利用できる「地域チケット」のような形で提供することも提案されています。
感想
1.メニュー化による労働と意欲の結びつけ
労働に対する報酬ではなく、「やりたい人」と活動を結びつけるために、ボランティア活動をメニュー化し、その情報を広報することが有効ではないかとの提案がありました。これにより、個々の意欲に沿った参加が促進されることが期待されています。
2.ボランティアの意欲の維持
提案された税控除の仕組みのような具体的なメリットがボランティア参加の動機に必ずしも結びつくものではないため、本人の意欲が重要であるとの意見が出ました。また、参加者の自主的な関与を促す工夫が必要であると考えられました。