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レポート作成日:2025/01/24

第16回課題深掘り会レポート【「産前産後のママを支援する居場所」を社会資源として作りたい】

現状

・フィンランドで視察したネウボラ(フィンランド発の子育て支援制度・施設)にインパクトを受けて課題投稿をするに至った

・日々の活動や子ども食堂等で子どもや親と関わっていくうちに、子どもだけではなく親がとても疲弊しているということを感じた

・親と会話する際に、支援としての会話ではなく雑談のような何気ない日常の会話をしながら寄り添える場所を提供することが大切なのだと気がついた

・特定妊婦(出産前の養育に支援が必要と認められる妊婦)や孤立している方等いろいろな悩みを抱えている方に「寄り添うよ・いつでもきてね」というメッセージを届けられるような居場所をつくりたい

・妊娠期間中は妊婦さんの居場所を確保しながら無事に赤ちゃんを出産できるような環境を、出産後に関しても安心して子どもを育てられる環境を整備していくこともとても重要

→子どもを育てながら自立していきたいという母親にはハローワーク等を紹介し、母親がある程度収入を得られるような状態までサポートしていきたい

・繋がりができて支援を開始することができても、困難を抱える母親からの連絡が途絶えてしまった事例があり、内容としてとてもセンシティブなものなので、それぞれへの関わり方や制度の作り方が難しい

 

 

デジハブで議論したいこと

・民間の妊娠SOS妊産婦等生活援助事業の開始にあたりLINE窓口の開設をしたい(相談ではなく受付)

・異業種多職種での連携が必要と考えているが、個人のプライバシーを守りつつ連携をしていく手段を見つけていきたい

・同じような活動をしている機関とのスムーズな情報共有のためにデジタルでつながる手段はないか

・粉ミルクや紙おむつのストックや在庫管理、そしてそれを必要としている人や機関に情報提供を

 

課題の深掘り

・これだけ重い事柄が多い中で、1団体で引き受けられるようなことなのか。

→ 法律にも触れてくる事柄もありとてもセンシティブな問題なので、とても1箇所でサポートできるものではない。しかし、行政に全て任せるわけにもいかないので、民間の組織で連携していく必要がある。民間の組織間で顔が見えて知り合える関係性を作ることで連携しやすくなる。多くの公的機関でサポートしているがそれぞれが独立しているためうまくいっていないのが現状。

・二年間で60人くらい特定妊婦が来ていたが、そのうち2人は亡くなった。医療機関や行政は気がついても都度対処ができないことはあると思うので、そこに民間が介入していく必要がある。

・県内で、無料定額診療でお産できる施設は済生会だけ。1箇所しかないのでとても多くの人が来院する。コロナ後圧倒的に増えたのは未受診の妊婦。未受診だと赤ちゃんの死亡リスクが5~10倍高まる。制度はたくさんあるが、そういう方は自分が利用できる制度を知らないので繋がれないし、自ら行政に足を運ばないことも多い。お金がないので受診はできないし、どこにSOSを出していいかもわからない人が多いという印象がある。外国人で在留資格がない方が妊娠した場合にも同様のことが言える。出産前に認定を受ければ子どもが在留資格を得られるが、出産後だと認定されない。(婚姻関係がない場合の話)

・無事健康に生まれて育ったとしても、中学生となって自我が芽生えた時に周りの子との経験の格差や親のことでとても悩むケースが多い。負のループになっていると思うので断ち切らないといけない。

・スマートフォンとかは持っている?

→持っていないこともあるが、持っている方がほとんど。なんなら子どもも持っている。

・今まで見たことない世界だったので驚いた。行政や医療機関と民間の連携が必要との声の中で、デジタル活用をして提供側の連携をしたところで届かない層ができるのではないか。(支援する側の熱量はあると思うが、本人が求めていない場合どうするのか。強制介入をしていく必要もあるのでは。)

→本人からのヘルプがないと動けない。

→本人が問題だと思っていないというケースもあると思うので、人と繋がって周りの人と比べられる環境をつくることで本人に問題を気づかせる必要もあるのでは。

・宇都宮市は生理用品を配るシステムがあるのはいい。生理用品を配るのが重要なのではなく、もらいに来た時点でコミュニケーションをとって支援に繋げるというのがとても重要。

・本人にとってメリットがあると感じられるような制度でないと利用につながらない。紹介だけでは意味が薄い。

・話を聞いた後に「来て良かった」と思ってもらえるかが重要。ファーストタッチでいい印象を持ってもらわないといけない。

→相談を受ける側の対応力や会話力も必要で、関係性を築く時間はかかる。一朝一夕では難しい。何か悩みを話さないといけないというわけではなく、雑談からでもいいので関わる回数を増やしていく必要がある。

・「子どもは親の所有物」という認識をされている場合が多く感じる。

・いかに情報にアクセスするか、させるかというところの重要性を感じる。アンテナが高い方はしっかり知っているし、繋がるべきところに自分から繋がりに行けていると思う。その情報を得る力が不足していたりする場合は繋がれないし孤立してしまう。

・しっかり文字が読めているのかという疑問も湧いている。(支援側が当たり前に使っている言語が難しいと思われシャットアウトされているのではないか)

→小学生でも読めるような文章で書くことが重要だと感じる。チャットGTP等で要約したり読み上げたり、絵でわかりやすく伝えるのも可能なのではないか。

・デジタル技術を活用するということに対して、本当に疲れている人はデジタルに目も向けない。相談員は支援を必要としている人は見つけられない。「見つけるというところにはとても弱いのではないか」東京都大田区で実施している見守りシステム(みま〜も)は参考になるのでは。

・相談したら今の状態まで放置したことや現状について怒られるのではないかと思っている方も多いので、怒られないとか過去を探られないという配慮をすることも必要。

 

感想

・粉ミルクがないというのは緊急SOS。それぞれの団体が寄付を求めるのは大変なので、ここに集まるという集約されるような場所ができたらいいと思う。

・当事者が求めていないところに繋がるのはどうしたらいいのかについて、地域で見つけるのはいいと思った。

・行政特有の文面の難しさを読み解くことに難しさを感じている人も多いと思うので、デジタルを使って簡単に誰でも理解ができるような仕組みができたらいいと思う。

・自分は産後うつの経験があるが、当時は自分が産後うつだと気が付かなかった。気がついてくれる人が近くにいることが重要だと感じた。

・SOSは基本当事者からは出せないと思う。支援に繋がれる場所から離れている妊産婦さんも多いが、見つけて支援に繋ぐことがとても難しいと感じた。

・情報の届け方について自分たちには何ができるか考え直したい。

・誰からも勘違いされないような文章を作るのが行政なので難しいところであるが、発信の仕方は考えていかなければいけない。

・地域の民生委員や一般の方で地域を支えたい方が多いことは実感しているので、支える側のネットワーク構築をしていく必要があると思う。

・私個人として何ができるかが全く思いつかなかった。正直な感想として一般人は太刀打ちできないと思った。

・見つけるというところの難しさを再認識した。粉ミルクをもらいにいった時に相談ブースがあったら、何か根掘り葉掘り聞かれるのではないかと思って帰ってしまうかもしれない。恐怖感を感じさせない工夫が必要。

・困窮支援事業をやっていると、最終的にはデジタルよりも人と人が会って話すことに勝るものはないと思うので、基本は対人で補助的にデジタルを使うようにできたらいいのではないか。

・デジタルは主役ではなく生かすためのツールだと思う。

・フードバンクの活動を行っている団体などから今回のテーマに該当するような方の紹介を受けることが多い。医療機関を受診する資格がない。怒られるという認識でいる人は多い。それを突破して繋がってもらいたいと思うが、決して支援側のエゴで関わってはいけない。「こうしてあげたい」ということを押し付けてはいけない。

・産後の時、元々自分は大丈夫だと思っていたが、市役所のダイヤルによく電話をかけていたなという記憶がある。今あるネットワークをしっかり活用していく必要があると思う。

・全てを受け入れることの難しさを実感した。個々の人間力がものをいう課題なのではないか。

・地域の見守りシステムを実施した場合に、見つかりたくない人もいるのではないか。誰かからアクションされると避ける人もいるのでは。常に監視されているように感じてしまうのは問題。

・自治会に入っていない人とかはどうしてもこぼれ落ちてしまうのでどう助けるか難しい。

・この課題は段階があると思っていて、それぞれに支援策や方法は変わっていくので、断続的なものも継続的にやらなければいけないこともある。教育現場にあるタブレットを、情報を得るためのデバイスとして妊婦にも配布するというのもいいのではないか。

・課題についての論点はたくさんあると思った。スマホを使ってやってみるという仕組みを作ることがやりがいあるなと思った。

 

課題投稿者コメント

支援機関や支援者と当事者が繋がれたところで相談をしないという決断もありだと思う。しかし、子ども食堂等で繋がりを続けていくことで、いざヘルプがあった時にすぐに助けることができる仕組みを作っていけたらいいのではないかと思う。食をつながるツールにするのがいいと思う。

 

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