お知らせ詳細News
2023.03.02(木)
【レポート】とちぎデジタルハブ課題深掘り会#6「工事現場で悲惨な事故をなくすにはどうすればいいのか」を実施 2023/2/16
テーマ:
工事現場で悲惨な事故をなくすにはどうすればいいのか
—-----------------------------------------------------------------
話題提供について:
全体として建設業の死亡事故の型別内訳では、墜落と転落が約40%。
足場や屋根、梯子からの転落が多く、新聞掲載レベルの重大事故もある。
原因としては複数あると考えているが、元請けや下請けが絡み合っている構造的な問題が大きいと考えている。業界の構造的な問題なので、デジタルの力を使うところまで動けていない。
—-----------------------------------------------------------------
課題に対するトークタイム:
・事故の発生時期は?
→年度末等繁忙期は決まっている。一人親方も含めた様々な組織体制の業者が集まっており、ルールが守られていないこともある。
・ルールの限界があるのでは?
→大手の事業者の現場では「安全第一」を推している。が、ルールがあるのと運用ができるのとは話が違うので、ルールを守らせるという視点でデジタルを活用していくしかないのではないか。
・工期がプレッシャーになっているのでは?
→プレッシャーは大いにあると思われる。
・締め切りがあるのは建設業以外もそうなのでは?
→仕事を振る権限がある場合は納期の調整が可能だが、下請けになればなるほど調整権限がないという構造的な問題がある。
・締め切りまでに工事を終わらせないとお金が支払われないから焦ってしまうのでは?
→それもあると思う。なお、単価を上げて給与が増えるよう国も尽力しているが、階層構造があるので下に行けば行くほどまだ実感できていない。
・納期が遅れると次から仕事を任せてもらえないので、無理してでも間に合わせる状況があるのでは?
→本当にその通り。また、口うるさい業者と、事故を起こした業者は次から呼ばれない。事故が起こって労災を使おうとすると発注側に嫌がられたりするため、それぞれが個人で入っている保険でカバーすることで逃げ切る事案も多いと思う。当然、事故は誰も起こしたくはないが、指差し確認をするには、人手が足りない。
・ルールで縛って性善説に頼るのは不可能。安全装置をつけないと作業が進められない等の強制力は必要だと思う。
→衝撃ベースの安全装置はあるが反応しない場合もある。そもそも建設機械に安全装置がデフォルトでついていない。
・公共工事ではその業者の事故も評価されるので、業者も事故は起こしたくない。そのため、実際に事故が起きたときに隠す方向に動くことも起きると思われる。
足場の事故とか屋根からの落下事故多い?コロナ禍によるマスクの影響で熱中症になり気を失って落下もある?
→落下事故が起こる原因としては、
①墜落制止用器具をつけていない
②立ち入り禁止エリアに入ってしまった
③熱中症等が起因
の3つが多い。
—-----------------------------------------------------------------
課題アイデアについての意見交換:
・作業服に初めからアラート系の装置をつけるのはどうか
→作動する時としない時を判別できるシステムが必要。現場にカメラを導入して、安全帯装着の有無をAIが判断する仕組みをつくることも可能だが、未装着状態で数メートル動くと鳴る等の条件の組み合わせを作る作業が必要。
・建設機械は音が大きいので、光で知らせる方がいいのではないか。
・海外は労働者を守るという意識が強いので、海外の事例を参考にして施策を考えるのもいいのではないか。
・アラートが作動したらお金の出し手側に通知される仕組みにすれば、現場は安全管理を徹底するのではないか。
—-----------------------------------------------------------------
参加者感想:
・ただの命令としてルール守ることを徹底させるのではなく、安全性によって出されるお金の額が変わる等の指標ができてくればしっかりルールを守るのでは。
・入札制度自体に問題があるのではないかと感じた。業界が持っている構造的な問題が大きいのは言わずもがなだが、根本の仕組みから変えていかないと変わらない。
・昔友人が工事現場で亡くなったことがある。こういう話は、リアルな現場で働く方からの意見を聞きながら話していきたい。
・個人の判断に任せるのではなく、装置を付けないと作業ができなくなるという仕組みづくりも必要。
・事故の事例を見て衝撃を受けた。知識として知っていたが、簡単に人の命が奪われていく現状に心が痛んだ。デジタルの力を使って力を結集させて人の命を守る仕組みを作っていくことが必要。
・怒られると思うと人間は隠ぺいに走り、小さい事故が隠されたりもするかもしれない。隠しきれなかったらものすごいペナルティーを与えますよという策をとると解決したりするかもしれない。ちゃんと報告されて明らかになれば対策ができる。
・今までの事故のデータ化が必要だと思う。危険なことがあったら知らせる仕組みは、邪魔だから隠すという方向に行く危険性もあるかなと感じた。
・発注側の責任もある。納期が守れるようにマネジメントするのが発注側の仕事だと思う。
・ルールの抜け道を探して守らない人もいる。そういうことが起きないようにしていくのが必要だと思う。
課題投稿者たかしたかしさんのコメント:
いろんな意見いただいて希望が見えてきた。
実際に働いている現場の人が、何を見て何を価値だと考えているかを知りたいので、現場の方に入っていただいて議論をしていきたい。