レポート作成日:2022/03/09
【3/9実証実験に向けた公募型プロポ発出】林業を担う皆様の安全 × デジタルガジェット開発にチャレンジします
2021年11月、「デジタル技術で林業従事者が安全に働くことができる環境を作りたい」プロジェクトが立ち上がりました。
矢板市様をリーダーに、市内の林業企業体様、IT企業様とともに、これまで複数回のディスカッションや既存ソリューションの実地テストを行い、求められている機能を探りました。
林業における労働災害の多くのケースは伐倒(出荷する20m以上の木を切り倒す作業)時に行っており、倒れた木が下にいる別の作業員や重機に接触する場合です。
そのため、安全確保とは以下の達成であると定義しました。
⑴伐倒時の従事者同士または住宅や重機との安全距離の確保
⑵事故が発生した時の他者への迅速な連絡
これらについて、特に1月下旬に行った既存ソリューション実地テストでは、ライカジオシステムズ社のハンディタイプの距離計「DistoX4」とRonk社の緊急時通報ソリューション「緊急通報ハンマー」をテストしました。
また、テストの様子を県内の林業企業体の皆様にも展開し、ご意見をいただきました。
DistoX4は簡単に樹高や遠方の作業員等までの距離を測定できることの評価と同時に、作業員は片手に常にチェーンソーを持ち、もう片手では傾斜地で姿勢を保つために使うため、どうしても手で持って使うことは使い辛いという意見が上がりました。
緊急通報ハンマーはヘルメットに付けたガジェットで転倒状況を把握し、一定時間経過後に他者にアラートを発信する仕組みで、ガジェット内臓のハンマーでチェーンソー作業中でも異常に気付くことができるものであるり、緊急時の評価と同時にGPSセンサーなどを追加すれば作業員同士が一定以上接近した場合にアラートを鳴らすこともできるのではないかという提案をいただきました。
これらの意見を踏まえ、プロジェクト内で議論、以下のソリューションの開発について3月7日にとちぎデジタルハブ実証実験審査会を開催し実施を決定し、3月9日に公募型プロポーザルを発出しました。
詳細は以下のとおりです。
https://www.pref.tochigi.lg.jp/a04/society5/ringyou_propo.html
今回の実証実験で取り組むのは以下の2点です。
(1)レーザー距離計を声で操作し、見なくても結果を知らせてくれるアプリを開発
レーザー距離計を腕や肩に設置し、声で操作して距離を測定し、結果は音声で返す形を想定
これにより、伐倒木が流れてはいけない他の作業員やふもとの家等までの距離を測るツールとしての活用を期待。メインのターゲットは従事経験数年以内の作業員
(2)緊急通報ハンマーの有する機能に加え、作業員同士の接近時にもアラートを発するソリューションを開発
例えば作業員間が50m以内に接近した場合は両者間でアラートを出し合う仕組みを追加。これにより無意識に近づいた場合に対処が可能となります。
開発にあたっては、県内の森林組合や県のスマート林業推進協議会、県内各林業企業体の御意見を頂きながら、皆様に満足いただけるパッケージとすることを目指します。